ナショナリズムと右派・左派

学び

ナショナリズムとステレオタイプ

ナショナリズムという用語からは外国人の排斥を主張する「排外主義」や王政や軍事独裁時代に戻ることを主張する「反動主義」などのイメージを持つ人が多い。そのため、ナショナリズム=右派というイコールが成り立つと考える場合もあるがが必ずしもその限りではない。

ナショナリズムと左派の結びつき

近年のヨーロッパにおいては、ギリシャにおいて発生した経済危機(ギリシャ危機)に対応するため、EU諸国において財政支出を減らす緊縮財政が進み、福祉に対するリソースが減り続けている。また、欧州へ向かう移民も増加しつつあり、低技能・低賃金の移民に対する福祉の支出が増加している。このような状況下において、福祉の強化を肯定しつつ外国人の排斥を主張する福祉ショービニズム(福祉排外主義)が人気を博しつつある。福祉ショービニズムは、国家による富の再分配を肯定する左派的な思想である近代自由主義を肯定しつつ、自国民を優先し外国人の排斥を主張するナショナリズムも肯定しており、ナショナリズムと左派的な主張が結びついている。

参考文献

  • [1]    中井遼、『ナショナリズムと政治意識「右」「左」の思い込みを解く』(光文社新書、2024年)

  • [2]    高橋進・石田徹、『「再国民化」に揺らぐヨーロッパ 新たなナショナリズムの興盛と移民排斥のゆくえ』(法律文化社、2016年)、福祉政治における「再国民化」の言説 福祉ツーリズム、福祉ポピュリズムをめぐって(著、石田徹)


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